いよいよ発売を迎えたレッドウィング・ジャパンの秋の新作。
そして、この秋は海外レッドウィングも良作連発です。
オロラセットの裏表コンビセッターにネイビーポーテージセッター、茶芯ブラックスミスなどなど、日本でも発売してほしくなる魅力的な新作が目白押しです。
そんな海外レッドウィングから、ここに来て追い討ちをかけるように更なる新作の情報が入ってきました。
それがこちら。
新たなクラシックドレスコレクション「Williston(ウィリストン)」です。
ウィリストンとは
ウィリストンにはオックスフォードと6インチブーツが用意されています。
海外モデルとしては過去に類を見ないほどドレス寄りの新シリーズ「ウィリストン」。ネーミングは、レッドウィング創業時の投資家のひとりの名前に由来しているそうです。
ベックマンと共にレッドウィングを立ち上げたと言われる14人の仲間のひとりでしょうか。
フェザーストーン × グロコード メダリオン
ウィリストンの基本仕様はフェザーストーンレザーにグロコード メダリオンソールです。
傘下タンナリーS.B.Footが誇るプレミアムレザーに、ハイグレードモデル向けソール。ウィリストンが単なるシーズンモデルではないことを予感させます。
木型は新開発のラスト220
木型は同シリーズ用に新たに開発したラスト220が使われています。
ポストマンラスト210をベースに、よりスマートに、より快適に、より万人の足に合うように設計されているとのことです。
上がラスト210のベックマンオックスフォード9046、下が新開発ラスト220のウィリストンオックスフォードです。
甲が低くなってつま先がやや長くなり、履き口が少し狭くなったでしょうか。
やや寸詰まりな感じのする210より明らかにスマートになっていますね。
これは一度試してみたいところです。
ラインナップを詳しく見てみましょう。
ラインナップ
ウィリストンは先ほど紹介したようにオックスフォードと6インチブーツの2型が用意され、それぞれ2色の展開があります。
色はブラックフェザーストーン、チークフェザーストーン。大定番の黒に茶系の新定番チークという間違いのないカラーバリエーションです。
Williston oxford 9430 Teak featherstone
この中で私が真っ先に注目したのがチークのオックスフォード9430。
カッコ良くないですか?
ただ、色とデザインが手持ちのベックマンオックスフォード9046と丸被り。
Williston oxford 9431 Black featherstone
ならばブラックフェザーストーンの9431はどうか。
仕事履きニーズもあると考えればこれが一番人気になりそうですね。スーツに合わせようという方には最適な選択になりそうです。
ただ、私は基本的に真っ黒の靴は履かないので残念ながら選択肢には入らず。
これでウェルトが茶だったら良かったのですが。
Williston boot 9436 Black featherstone
なんて考えてたら、ブーツのブラック9436は茶ウェルトじゃないですか。
黒のドレス系ブーツは持っていないので、これは良いかも知れません。
Williston boot 9435 Teak featherstone
で、チークのブーツはと言うと、、、
これまたカッコ良い。
エンボスベックマン9030を買っていなければ間違いなく選択肢の一番になっていました。
他シリーズとの比較
フェザーストーンにレザー&ハーフラバーソールということで、どうしてもベックマンシリーズとの関係性が気になります。
一部では“New red wing to replace the beckman(=ベックマンに代わる新しいレッドウィング)”と紹介されていたりもします。
また、同じ組み合わせのシェルダンブーツもテイスト、プライスを縦横に取ったマトリクス上では非常に近い存在と言えそうです。
価格の比較
まずはそれぞれの価格はどうなっているでしょうか。
北米での6インチブーツの価格で比較するとこのようになります。
シリーズ | 価格(USD) |
ウィリストン | $429.99 |
シェルダン | $369.99 |
ベックマン | $349.99 |
ウィリストンが飛び抜けて高く、逆にベックマンが意外と安いことに気が付きます。
ウィリストンは北米公式サイト掲載の全モデルの中で最も高く、唯一の$400オーバーでした。
オックスフォードも他のモデルが$200台前半なのに対して、ウィリストンは$399.99と、こちらもぶっちぎりの高さです。
ディテールの比較
価格の次はディテールです。
まずはオックスフォード。
上がウィリストン、下がベックマンです。
どちらもブラックフェザーストーンのオックスフォードですが、受ける印象が異なります。
一番の違いはウェルトが黒か茶かの違いです。(チークはどちらも茶ウェルト)
他にもベックマンが5アイレットの表ハトメに対してウィリストンが6アイレットの裏ハトメ。
サイドのステッチがベックマンは3本、ウィリストンは2本となっています。
続いてブーツ。
上からウィリストン、シェルダン、ベックマンです。
オックスフォードと違い、サイドのステッチは3本のままですし、アイレットも表ハトメです。
それでも、間隔の狭い8アイレットと細い平紐の組み合わせで、十分なドレス感を醸しています。この辺りはジラードやエンボスベックマンに近い雰囲気ですね。
履き口の形状とフルライニングでカウンターポケットのない作りはシェルダンにそっくりです。シェルダンが先芯入りだったら立派なクラシックドレスブーツだったでしょう。
こうして見ると、あんなにドレス寄りだと思っていたベックマンが随分ワークっぽく見えてくるのが不思議です。
ベックマンとの差別化は
この価格差とディテールの違いであれば、すぐにベックマンがディスコンになる心配はないでしょう。
おそらくウィリストンは今までベックマンシリーズの中で思考錯誤されてきたクラシックドレスシューズのスピンオフ的な位置付けなのではないでしょうか。
国内では発売されなかったオックスフォードやチャッカ、またエンボスベックマンやベックマンウィングチップなどで蓄積されたドレス志向がベックマンの範疇に収まりきらなくなり、その受け皿として立ち上げたのが今回の新たなドレスコレクションなのだと思います。
ウィリストンの国内正規発売は?
これだけ紹介しておいてこう言うのもなんですが、ウィリストンが今後すぐに日本で正規販売されることはないと思います。
今回の高級クラシックドレスシリーズの投入は、数年前までジャパンが採っていた戦略に似ています。
当時、北米とヨーロッパはワーク色の強いモデルの開発が盛んでしたが、今は逆にジャパンがワークに回帰しつつ、新たにアウトドアモデルの開発を進めています。
一時期、日本のレッドウィングは世界から隔絶されたガラパゴス状態だと思っていました。その実、世界に先んじた開発を行うリーダー的存在なのだと今になって考えを改めました。
海外での復刻アイリッシュセッター後発投入などが良い例です。
今回、北米、ヨーロッパで発売したウィリストンは、日本ではジラードやキャバリー、Mil-1というシリーズですでに通ってきた道なのです。
国内でウィリストンを発売するということは、日本におけるレッドウィングの後退、ひいてはレッドウィングというブランドそのものの進化に逆行する行為にもなりかねません。
ただ、ウィリストンはヨーロッパだけでなく北米でも発売しているので、並行輸入が入ってくるのは時間の問題かと思います。
コメント