カモフラにビブラムセッター、茶芯ロガーに黒ペコスと、粒ぞろいのレッドウィングジャパンの2016年秋の新作。
極め付けはビームス共同企画の復刻半円犬タグでしょうか。
このところクラシックドレスラインの拡充を図ってきたレッドウィングジャパンが、この秋は一気にワーク路線に舵切りしたように見えますね。
このワークへの回帰は、昔からのファン、そしてかつての熱気に憧れる若い世代に好感を持って受け入れられているように思えます。
日本ではこのような動向を見せるレッドウィングですが、海の向こうではどんな動きがあるのでしょうか。
いくつか興味深いものがあるので、紹介させていただきます。
ニトリルコルクからビブラムミニラグへ
レッドウィングの純正ソールのひとつであるニトリルコルクソール。耐油性、耐摩耗性に優れたニトリルゴムにコルク片を混ぜることで軽量化に成功した画期的なソールですね。
アイアンレンジに使われているソールと言えば分かりやすいでしょうか。
アイアンレンジの他にも、ブラックスミスやフォアマンオックスフォードなど、幅広いモデルで使われているのですが、そのニトリルコルクソールが本国では次々とビブラム430 “ミニラグ”に置き換えられているのです。
ことの発端は1年前に発売されたアイアンレンジ8119。
この時、初めてレッドウィングにミニラグが使われたのですが、当時はまだこの1型のみ。それがこの秋、使用モデルを一気に拡大し、その数なんと10型となりました。
例えばホーソーンミュールスキナーのアイアンレンジ8083はこんな感じ。
ブライアーオイルスリックのブラックスミス3340はこんな雰囲気。
横顔はほぼ変わりませんが、グリップ力は格段に上がっていることでしょうね。
今後、日本でも同じ動きが出てくるのか。
興味のあるところです。
Cooper moc
続いては気になるネーミングの新作です。Cooper、調べてみたら桶や樽を作る職人さんのことだそうです。
アメリカの桶屋さんはこんなブーツを履いていたんですね。
アメリカの桶屋さん、カッコ良い。。。
ちなみにソールは先ほど紹介したビブラム430 “ミニラグ”です。
黒アッパー、茶ウェルト、ツーピースソール、黒アイレットに上3つはクイックレース。どこかで見たことあるなと思ったら、200シリーズの9213にそっくりですね。私も欲しくて買えなかったクチですが、足首のRED WING刻印は入らないものの、9213を買い逃した方はこちらで欲求を満たすことができるかもしれません。
色は画像のブラックハーネスと、アンバーポーテージなる聞いたことのない激シブなレザーの2色展開です。
Merchant boot
こちらはヨーロッパの新作。
Merchantは商人という意味のようです。先ほどのCooperもそうですが、もうブーツのデザインとネーミングなんて半ばこじつけなのではないかと思えてきます。
特徴としては、履き口がアイアンレンジ風の切りっぱなしになっています。ラスト8のプレーントゥで、一見ブラックスミスのようですが、ヒールカウンターポケットのステッチや、ピューリタンミシンの入る部分のカーブの深さがブラックスミスとは違っていますね。
そして特筆すべきは先芯が入っていないということです。先芯がないので、ラスト8特有のポテッとしたラウンドトゥではないんですね。
レッドウィングジャパンの鈴木代表をはじめ、レッドウィング上級者の方が先芯抜きのカスタムをしているという話は聞いたことがあります。私も実際に青山のシューストアで先芯を抜いたベックマンを見せていただいたことがあるのですが、先芯なしのブーツは履き込むとつま先が潰れてきてクタッとした独特の柔らかいエイジングをするんですよね。
それを製品にラインナップしてしまうところはさすがアムステルダムです。
女性のためのレッドウィングが登場
1ヶ月ほど前からアナウンスは出ていたのですが、北米、ヨーロッパでレッドウィングヘリテージのウィメンズコレクションが登場しました。
女性のためのレッドウィングと言っても、ただサイズを小さくしただけではありません。
積み革のハイヒールだったり、ひざ下丈の編上げだったり、6インチモックやアイアンレンジも女性用の木型を開発して作るという力の入れようです。
説明を読むと、レッドウィングは1920年代に活動的になりつつある女性のために靴を作っていたという実績があるようです。
今回発売されたモデルの中から、気になるものをいくつか。
このCLARAというモデルは美しい積み革のハイヒールにベックマンと同じレザー&ラグソールというこだわり仕様。使われているレザーはアイアンレンジなどにも使われるアンバーハーネスです。
このハイヒールシリーズにはサイドゴアのHARRIETとチャッカタイプのLILLIANが用意されています。
今回のウィメンズコレクションの中で最も女性らしいかなと思うのがこちらのGLORIA。
メンズではなかなか見ない丈感の編上げが新鮮ですね。
この丈のブーツは他にレザーソールでプルオンのMARIONと、エンジニアタイプのその名もTALL ENGINEERがあります。
見慣れたオロレガシー6インチモックも女性用のラスト105を使用しています。インソールもレザーではないようですね。アイアンレンジもショートエンジニアもラインナップされていますが、どれも一から見直して作ってあるようなので、女性に履きやすい仕上がりになっているのでしょうね。
すでに北米、ヨーロッパ両サイトで販売が開始されているので詳しくはこちらをご覧ください。
Red Wing Heritage North America
直営シューストア限定でもいいので国内でも出してくれたら面白いですね。意外と需要あると思いませんか。
まとめ
と、ここまで書いておいてこう言うのもなんですが、今回紹介した中で国内で販売されるものはほとんどないと思われます。もしかしたら並行輸入で入ってくるものもあるかも知れませんが、ヨーロッパのマーチャントはほぼ絶望的でしょう。
でも、世界にはまだこんなに色んなモデルが存在すると思うだけでワクワクしてきませんか。
私たちの大好きなレッドウィングが世界的にどんな方向に進んでいるのか。
ガラパゴス的な道を辿っている日本のレッドウィングも、グローバルの大きな流れに全く影響を受けないわけではないでしょう。
あ、そういえばレッドウィングジャパンから冬モデルとして待望のあれが発売されるようです。
後日記事にしますので、まだ知らない方は楽しみにしていてください。
マーチャントが北米でも発売されました。オンライン限定のようですが、これで国内に入ってくる可能性が出てきましたね。
ウィメンズコレクションがレッドウィング直営シューストア限定で国内販売がスタートしました。
今後展開店舗が拡大して行くと良いですね。
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